ふっさ しずく

MrMoonlight2005-09-14

青梅方面にある某所で仕事を終え、最寄の駅まで送ってもらう途中。
送ってくれた人が「近くに美味いラーメン屋があるんですけど、よかったら行きませんか」と聞いてきた。
既に19時を過ぎており、適度に空腹を感じていたので二つ返事で快諾。
その店へと向かった。


JR福生駅近く。
とはいっても表通りから少し外れているので駅から2分弱というのに人気も周囲に店も無い。
そんなところにその店はあった。
店の名は「雫」


店構えと言うか全体の雰囲気が全くラーメン屋らしくない。
店内はカウンターだけで8席程度。
客はこの時間帯で3人だけ。
裏通りだからこんなものなのだろうか。


店内の雰囲気を見て先ほどの違和感の答えが出た。
おそらく前は小料理屋みたいな店だったんだろうね。
それを居抜きで借りてラーメン屋にしたのだろう。
店主はまだ若く、せいぜい40歳前後といったところ。
一緒にいる店主より若干年上に見える女性は奥さんだろうか。


メニューはラーメンは1種のみ。
火木土は醤油味、水金は塩味スープとなるらしい。
価格は650円。
トッピングは味付け卵と追加チャーシュー。
素材が鶏らしいので、チャーシューという呼称が果たして正しいのかどうかという疑問は残るが。


その他のメニューはご飯物にあたる肉飯のパリパリ揚げなるものが250円とデザートのバモチョ100円だけ。
バナモチョとはバナナ・もち・チョコレートを春巻きの皮につつんで揚げたもののようだ。


とりあえずラーメンと味付け卵、パリパリ揚げを注文。
ちょっとしたこだわりのラーメン屋だと平気で15〜600は超える内容だが、これで1000円丁度は正直嬉しい。


ラーメン屋によくある寸胴でスープを作るのではなく、小鍋で麺とスープを調整するように作っている店主。
その横でパリパリ揚げを作り始める女性。
今日はあまり注文が無かったのか、油の温度上げから始めているようだ。


どれくらい待っただろうか。
とはいっても待ったという感覚もないくらいの時間でラーメンが出てくる。
頼めば無料でニンニクチップがつくそうなのだが、今回は頼まなかった。


白いスープの上にメンマ、鶏チャーシューに刻みネギ、味付け玉子が品良く並べられている。
香りも特にきつくなく、ほのかな感じ。
パッと見でこれは美味いだろうなと思わせる何かがあった。


まず最初にスープを一口。
ムッ!ムムッ!
見た目は正直濃厚な幹事なのだが、決してくどくなく後味も変に残らない。
鶏の旨味と脂分のバランスが非常に良い。


麺は太目の縮れ麺で少しモッチリしたタイプ。
これがスープによく絡んでまた良い。


そして鶏チャーシュー。
普通のチャーシューとは違い、鶏のさっぱりとした味わいが良いアクセントになっている。


まいったなぁ…これは脱帽だよ。
私は決してラーメンマニアではないし、それほど食べているわけでもない。
ラーメンなんぞをわざわざ遠くまで食べに行くという感覚も正直理解できないし。
でも、このラーメンにはその価値があるような気がする。
というか、これってラーメンという言い方で括ってしまっていいのかな?という気にもなってくる。
ラーメンというのは立派な料理の一つなんだなぁというのをつくづく感じさせられた。


ラーメンが食べ終わりそうな頃にパリパリ揚げが出た。
太春巻の少し長いような感じ。
揚げたてなのでパリパリして美味いが、猫舌の私には少々つらいかも。
味は少し濃い目かな。
見た目以上にご飯がつまっている。
ラーメン1杯食べた後だと、少々きつい量かもしれない。
1本ではなく、2本にわけた形とかだと一緒に来た誰かと分けるなんて食べ方が出来るからもっと良いかもしれない。
まぁ店のオペレーションの事とかを考えるとなかなかそういう無理も言えないけど。


結局完食して店を出る。
少ない席数なので、店主や店員の意識もいきわたっており、非常に心地良い店だったし、なにより味が良かった。
あれだけの内容なのにそれほど混んでいなかったのは、やはり場所の問題なんだろうね。
だが、それも混んで忙しいだけになると自分が満足するものが出せなくなるという店主のこだわりからわざと選んだ立地なのかもしれない。
人が来るであろう日曜日を休みにしているあたりからもそれを感じられる。


店を出て一息。
つれてきてくれた人が「美味いでしょ?」と微笑んでくる。
こちらは黙って「参ったね」という顔で答える。


ちょっと離れているけどこれない場所じゃないし、今度は醤油味を食べに来ようかな。