しょかのたべもの3ぼんしょうぶ 2しょくめ

もう1個食べたかったな…

ときおり雨が降るものの、日中の日差しだけ感じていると真夏のそれとほとんど変わらない様な日もあったりして。
まぁ大雨災害で困っていらっしゃる地方もあるみたいだからあまり文句は言えないし、夏本番ともなればこんなのの比ではないくらいの日差しの強さと暑さだったりするんだろうけど。


そんな中、会社に粋な手土産を持った客が現れた。


手土産は…京都の和菓子屋「仙太郎」の包み紙。


キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!


銀座三越地下に出店しているのは聞いて知っていたのだが、そこそこお高い店というイメージがあるし、だからといって2〜3個だけ買って帰るなんてのも格好が悪いから気にはなっていたけど食べられなかった店の一品とあって余計に嬉しい。


そもそも向こうがうちの客なんだから別に手土産なんざ必要ないし、気持ちの問題というのであればその辺の菓子でもケーキでも買えばいいものを、わざわざ季節の和菓子にするなんてセレクトが粋で心憎い。
私もそんな大人になってみたいものだ。


水菓子との事なので、お客が帰るまで冷蔵庫で冷やしておく。
早く帰らないかな、この人(爆)


2時間ほど打合せをした後、程よく冷えた箱を冷蔵庫から取り出し、包みを開ける。
箱を空けた瞬間、フワーッと周囲に桜のいい香りが漂う。
中身を見ると葛桜が10個ばかり並んでいる。


キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!


この暑い日にこれほど最適なおやつはありませんよ!


正直、あまりアンコは好きなほうではないのだが、不思議と水菓子のアンコは好きなんだよね。
後味がすっきりしているからだと思うんだけど。


葛桜一つを桜の葉を塩漬けしたもの1枚でくるむというのが普通なんだけど、この葛桜は少し小ぶりの葉で菓子を上下2枚使ってはさむように巻いてある。
見た目も綺麗だし、葉を食べる人はあまりいないのでちょっと贅沢な使い方とも言える。
葉の色も昨シーズンから漬け込んだ色が濃く固いものではなく、淡く明るい色をしている。
ひょっとしたら今シーズンに漬けた新しい葉なのかもしれない。


葉をはがすとプルンとした葛が白く輝いている。
ほんのり白い葛の下に透けて見えるアンコ。


桜の移り香が残るそれを軽く一口。


葛のプルンとした感触が口の中で気持ち良く踊る。
そして少し遅れて広がるアンコの甘み。
しかしその甘さは程よいところでスッと消え、逆に清涼感すら感じる。


わずか一口…
わずか一口でしかないのに口腔内に一瞬にして広がる世界に思わず我を忘れる。


ヤバイ…マジで美味いかも…。


冷茶で少し口を洗い、二口目。
今度は菓子の中心部なので、表皮の葛が少々薄めでアンコが中心となる。
悪くは無いのだが、葛の食感が少ないだけにスッキリとしたアンコ玉という感がしなくもない。


やはり葛桜という和菓子は葛とアンコのハーモニーなのだなぁと切に感じる。


以前聞いた話なのだが、この仙太郎では丹波の製あん工場横に和菓子の原料となる小豆、黒豆、もち米等々の畑を作り、自給自足的な作り方をしているんだそうな。
加えて、和菓子ではどうしてもつきものとなってしまっている着色料(おそらく人口着色料だと思うけど)の使用を止めた為、色彩の艶やかさや見立てを重視する茶道界から嫌われてしまったとかなんとか…。
艶やかさも重要だろうけど、色目が悪いからといって外すという考えって、それこそ茶道の本質に外れてる気が私にはするんだけどね。
まぁ結果その考えは他で認められ、今に至ってるみたいなんだけどさ。


デパ地下の和菓子故に個店で職人が一つ一つ作っているそれと比較して出来上がったというか画一化された上品さがあるのは仕方が無いと思う。だが、他のデパ地下名店の一品には無い何かを感じたのも事実。
少なくとも私はこの仙太郎の葛桜の味に素直に感動したからね。


聞くところによると、渋谷の東急東横に入ってる店では職人さんが店のバックヤードで作っている
青竹筒に入った水羊羹「竹の水」なるものが売られているそうな。
いつかはそれも食してみたいなぁ。
誰かお土産で持ってこないかなぁ(爆)