新世界の戦慄 2日目(9/23)④

すごい所だったけど、夜逃げしたら逃げ

適当な時間になったので先程のガードをくぐって駅方面にに戻るが、階段を下りようとしたところで目の前にある線路に気づく。
近くの地図を見るとどうやらJRの駅が少し歩いたところにあるようだ。
そちらからだと乗り継ぎ無しで会場まで行けるようなので、そちらから行く事にする。


大通りに沿ってJR駅に向かう。
通りにあるホテルの看板に「1泊1200円」の文字。
典型的なドヤ街だなと思いつつ見ていると、その看板の下に「65歳以上の人は生活保護で入れます」みたいな事が書いてあったりする。
ホテルにしてみればその方が金を取りはぐれる事も無いし、色々と面倒も少なく、空室率を抑えられるので良いのだろう。
1泊1200円の部屋(?)も気になるが、そういう張り紙がそこここにあるという現実に少し驚き。
要は65歳以上のそういう人がたくさんいる街って事だからね。


ローソンが目に入ったので横断歩道を渡る。
気のせいかもしれないが、渡り切った瞬間、自分の脊髄のあたりに少し冷たいものを感じた。
危険信号の様なのだが…。


ローソンでペットボトルの烏龍茶を購入。
何故か缶ビールを買う気になれなかった。


日陰になった表通りを歩くが、新世界の雑踏とはあきらかに空気が違う。
異臭というよりも腐臭という感じの臭いがうっすらと空気に混じる。


単に日陰だからという理由では済まされない空気の冷たさ。
歩いている人は私だけ。
だが、駅に近づくにつれ道端で寝転がる人が増えてくる。


タコ焼き屋の紙袋を持った明らかに場違いな異邦人である私を一べつする彼等の目。
新世界で解除された自分の中の警報がMAXレベルにあがる。
近道だろうという単純な理由でここに迷い込んだ自分に少しだけ後悔(笑)


通りから角に入ると日の当たる横道に行けるのだが、ブロックの中に入るのでどうも入る気にはならない。
時間がもう少しあって、自分一人じゃなかったら行ってたかもだけど。


ローソンから100メートルも歩いただろうか。
たかが100メートルくらいなのに物凄く歩いた気になる。
だんだんと人が増えてくるものの、歩いていたり、立っていたりする人はいない。
ボロをまとい、垢にまみれ、皆、路上でうごめいているといった感じ。
新世界の酔っ払いのように奇声を発するという輩はいなかったが、それらが可愛い子供に思えるような危うさが満ち溢れている。


JR駅に行く横断歩道の手前。
ひときわ大きな建物があった。
「あいりん労働職安、労働福祉センター」と大きく表示された建物。
予感はしていたものの土地勘がないのでいまいち自信がなかったのだが、自分の中の警報やこの空気の正体にようやく納得がいった。
建物の中には祝日で中に職員はいないのだろうが、表の階段には何人もが並んでいるかのようにたむろしている。
私の脳裏にふと映画「ゾンビ」の1シーンがよぎる。


信号を待つ間、私は道路ではなく、自然と道路を背にして待っていた。
ボーっと信号を待っていると後ろから襲われそうな気がなんとなくしたからだ。


考えてみれば、大通りに面しているのにこの近辺だけ車の通りが少ない。
信号待ちをしていても、車が通りそうな気配も無い。
以前、この界隈で車に乗っていると当たり屋が出るので、タクシーも寄り付かないなんて話を聞いた事があるのだが、まんざら大げさな話でもないんだろうな。


横断歩道を渡り、JR新今宮駅入り口に着く。
狭い階段の前で人待ちをしている高校生か大学生くらいの女の子がいる。
私が前を通り過ぎようとした時、自転車に乗って彼らしき男の子が登場。


どちらがこの場所を指定したのかわからないが、駅前とはいえ道の反対側は苦界。
よくこんなところで女の子に待ち合わせをさせる気になるものだ。
それともあの地域の中はともかく、それ以外は比較的安全という不文律でもあるのだろうか。
いずれにせよ、あの地域と隣接し、共存している人達だから持てる考え方なんだろうな。


駅入り口からホームまでは意外に距離があった。
連絡通路みたいなところから、先ほどの「あいりん労働職安、労働福祉センター」が見える。
一番手前に見えるせいもあるが、あのブロックでもっとも大きな建物は正に廃墟の空気をまとっており、地域の象徴と思わしき感があった。


環状線にゆられて新福島駅に到着。
目的地の大阪国際会議場までは徒歩。
如何にも後藤真希のコンサートに来ましたという雰囲気の連中が多く、少し安心。


現場着は14時少し前。
開場は14時30分なのだが、既に開場周辺は大勢のヲタさんでごったがえしている。
グッズ先行発売が午前中からあったらしく、会場限定の20歳誕生日Tシャツは既に完売。
後藤のライブグッズは比較的カッコいいものが多いので、ちょっと残念とも思ったのだが、実際に来ている人のを見てあまりのカッコ悪さに逆にホッとした(苦笑)


昼の部に連番するヲタ仲間と合流し、昼〜夜の部参戦。
ライブ内容についてはどうせどっかに書いてあるだろうから割愛(爆)