かもす

これが33年もの♪

先日、日本最大の食品展示会へ行った時のお話。


展示会の内容上アルコール類の試飲というのも普通に行われています。
その中の日本酒会場で始めて日本酒の古酒というのを試飲させていただきました♪


そもそも日本酒に古酒…ワインで言うビンテージものね…というジャンルがあるなんて全然知らなかった。
カレンダーで言えば日本酒は7月始まりなのでそれ以降に出荷されたものを新酒と称し、酒屋では杉玉(さかばやし)を吊るしてそれを知らせるものだから、それに対して古酒というのがあってもおかしくはないんだけどね。
如何に自分が勉強不足だったかを思い知る。


で、並んでいた古酒をちょっとづついただく。
大体が5年ものでいくつか10年ものというのが混ざっている。
色は日本酒が持つ無色透明なものは少なく、どれもみな薄っすらと黄味がかった色をしている。
その色の濃さは年数で違うというのでもなさそうで、係員に聞いたところ、樽で保存している蔵もあれば瓶に入れて保存している蔵もあるとの事なのでその辺の保存方法等が関係しているのではないかと思われる。


味は…少しねっとりとした濃い日本酒。
だからといってベタついた飲み後でもなく、こんなものなのかな…という感じ。


いくつか試飲してその場を去ろうとしたとき、とある瓶が目に入る。


「百々登勢1972」


試飲で汚れたラベルを見て何故か心が躍る。
ひょっとして1972年醸造って事?
33年ものって事?


試飲会場に置いてあるのだから飲んでいいのだとはわかっているのだが、それでもおそるおそる係員に飲んでいいかを聞いてみる。
初老の係員は微笑みながら快諾し、私にお猪口半分くらいの酒を注いでくれた。


さすがに他の古酒と違って色も濃く、薄茶色といった感じ。
香りも…これ、日本酒?
日本酒というよりもシェリー酒のような香りがする。
一口飲んでみるとその味も日本酒よりはシェリー酒に近い感じ。
アルコール度は高く、胃が軽く焼けるよう。
だが胃が焼けるのはほんの瞬間の事で、逆に熱く刺激された胃は次の何かを欲してくるんだよね。
正に食前酒とでも言うのだろうか。


「これ…シェリー酒みたいですね?」思わず係員に聞いてしまう私。
「そうなんだよね、結構美味しいでしょ?」と笑う係員。
「やっぱり高いんですよね?」と野暮な質問。
「まぁ手間はかかってないけど、時間が経ってるものだからね…」と苦笑いする係員。
ラベルを記念撮影(?)させていただき、その場を去った。


自分が持っていた日本酒の常識をいい意味で破壊してくれた試飲だった。
その日は焼酎の古酒の試飲も出来たのでそれもさせていただいたのだが、同じ米から出来たものなのに焼酎と日本酒というのはこうも違うものなのかと思い知らされもした。


生まれは一緒だけど育ちでこうも違うものなのかな…なんてなんとなく思いつつ、反面では年月が醸し出す何かというものの力にも驚嘆をさせられていた。
あわせて自分はこれからどういうものを醸し出せるようになるのかな…なんて思ってみたりして(笑)