ひとしれず むねをかなでる よるのあき

MrMoonlight2006-11-10

金曜日

仕事は一向に終わらないのだが、どうせ土日も仕事だし、ここは気分転換に…と思い、少し早く切り上げて上野へ向かう

今日の行先はいつもの鈴本演芸場ではなく、上野の国立科学博物館
普通、博物館とか美術館は夕方17時くらいで閉館してしまう
でもいつからかは知らないんだけど、この界隈の博物館や美術館は金曜日だけ夜20時までやっているんですよ
これが意外と良い
日中に比べて客は少ない(特に子供がいない!)し、なんとなく雰囲気も違うんだよね
国立西洋美術館にあるロダンの地獄門なんかは夜、ライトアップされているのを見ると心底ゾッとするような迫力があるしさ


地下鉄上野駅を下車し、寝床の準備をしている浮浪者とその横の暗がりでイチャイチャしはじめたバカップルを横目に博物館へ向かう

今はちょうど「大英博物館 ミイラと古代エジプト展」というのが開催されている
でもこれはあまり見る気が無かった
だいたいミイラ展なんてのはミイラとその周辺で発掘された埋葬品が展示してあるだけ
何度か見たことがあるけど、そのミイラ(埋葬者)が違うだけでその内容は根本的に変わっていないという印象しかない
それにいつでも混んでるし…

なので見る気が無かったのだが、入口近くへ行くと当日券が1500円と係員が告知をしている
常設展を見るだけの入場券は500円
ミイラ展&常設展で1500円
なんかだまされてる気がしなくもないのだが、気になる事もあったのでミイラ展にも入れる1500円の券を買う事とした

気になる事…実は今回のミイラ展
入場が時間指定制になっていて、事前に時間予約をしたチケットで入らなければいけないんですよ
当日券も常時あるみたいなんだけど、それだと待たされる可能性も高いみたい
説明では「入場緩和の為」と書かれていたし、それならば多少はゆったり見れるかなとも思い、今回は買ってみた次第


入館

手前にある古い本館は現在改装中で中に入れない
でも本館は以前から薄暗く、昼間でも1人で見てまわるには薄気味悪い場所
さすがに夜は入れても入りたくない(笑)

本館の裏にある新館は公開中でそちらにミイラ展とかもあるのだが、その手前にある展示物を先に見ることとする

「化け物の文化誌展」
実はこれが今回のお目当て

「昔の化け物は昔の人にはちゃんとした事実であったのである。」(寺田寅彦「化け物の進化」より)
河童、天狗、龍、麒麟、鵺(ヌエ)
かつての日本人にとって、「彼ら」は実際に存在する生き物だったのだが、明治近代化の中で「彼ら」は伝承の彼方に置かれてきた
それに対して今再び、科学の目から化け物に光を当てるというのが今回の主旨

展示物も「清六天狗の下駄」「天狗のミイラ」等の天狗にまつわる遺物や「人魚のミイラ」「人魚の肉」、寺外では初公開となる曹源寺「河童の手」
ワクワクしてくるラインナップじゃないですか?

こういうのって元々見世物小屋が得意とするジャンルで、博物館みたいなところ、
しかも国立科学博物館みたいなところではあまり取り上げられないものなんですよね
まぁジャンルが科学ではなく、民俗学博物学の方だというのもあるのだろうけど

もうね、これが見たくてたまらなかったのさ
だから今日は仕事をサボって見に来たわけ(笑)

見た感想
予想通りといえば予想通りなんだけど、あまりたいした内容ではありませんでした

確かに天狗のミイラも河童の手も人魚のミイラもあった
でも展示物の9割くらいが古文書を並べただけのものだったんだよね
それについての解説でもあればいいんだけど、やはり「科学博物館」故なのか突っ込んだものまでは提示されていなかった
もちろん普段めったに見られるものでは無いのでそれはそれで価値はあったんだけど、期待していただけに残念だった
ミイラをX線解析した分析結果ばかりを並べるなんて興醒めな趣向でなかっただけマシなのかもしれないけど


続いてこれも特別展示という「南方熊楠展」をザックリ見て、ミイラ展へ

入場が時間制限となっているらしく、そこで約10分ほど待たされる
待っている間に説明
どうやら展示物を見る前に立体映像の映画を見なければならないらしい
入場を時間で区切っているのはどうもこの映画が一番の理由らしい

受付開始
お約束の3Dメガネを受け取り、軽く3〜400人は入れそうなホールへ通される
でもさすがに時間が時間なので客は50人もいない感じ

映画開始
今回の展示会は「ネスペルエンネブウ」という名の人物のミイラがメインらしい
この人物が何と言う名で、当時何をしていた人物なのか等を調べた研究結果の説明が始まる
今までのミイラといえば墓を掘り起こし、棺を開け、包帯を解いてX線照射をしたり色々するのが通例
私もどうせそんなものだろうと思ってた
ところが今のミイラ研究って違うんですね
墓を掘り起こすまでは一緒なんだけど、棺ごとCTスキャンにかけ、その画像で研究をするんだそうです
これだと包帯を解く時の損傷や解いた後の劣化等が防げるんだとか

それでもって「ネスペルエンネブウ」のミイラの健康状態や死因、その時の年齢等までわかるっていうんだからすごい!
約20〜30分くらいの映画だったのですが、完全に見入ってましたね
従来のこういう展示会だと最初に主催者や関係者の長ったらしいあいさつ文があって、その後年表とかから入ったりするでしょ?
そういう硬さが全然無いんですよ
これが正しい展示方法かどうかといわれるとわからないけど、見る人に古代エジプトやミイラに対して興味を持ってもらうという点では大成功な演出なのではないでしょうか

映画が終わって客が一気に展示会場へ
普段よりは少ないんだろうけど、さすがにこの時だけは混雑
でも会場内に入ってしばらくすると適当にバラけてくるので非常に見やすい
特別展示会ってどうしても来場者数が多いから人の波に押されて展示物をゆっくり見られないというのがあります
ところが今回はそういうのが一切無し
「ネスペルエンネブウ」のミイラ(正確にはミイラが入っている棺)も手で触れそうな距離でジックリ見れましたよ
触れても触らないけどさw

来場者を見て気付くのが男性の一人客が本当にいない事
いても夫婦かカップルがいいところで、そもそも男性の客が少ない
ところが女性は2人連れを中心に1人で見に来ている人なんかもいる
それも結構若くてかわいい感じの子とかがいるんだよね

さすがにどんなにかわいくても夜の博物館に1人でミイラを見に来るような子に声をかけようとは思わないけど(爆)

ミイラ展を見た後、わずかな時間しかなかったけど新館の常設展をザッと見たところで閉館時間
1人トボトボと上野駅まで歩いて帰るんだけど…

あの駅までの道は暗くてなんか怖いね
ミイラを見た後だけに余計にさ(苦笑)